あなたの取引先がリスケしているかどうかは決算書から見破ることが出来ます!
企業活動を行っていく上で、切っても切れないリスクの1つが、取引先の破綻です。仕入れ先、販売先、どちらにしても、大きな影響が出てきます。勿論、取引量が多ければ多い程、そして歴史が長ければ、長い程、大変な事態に繋がっていく可能性が高くなります。
前もって、その予兆を感じることが出来る場合は、取引量を制限する、あるいは取引自体を止めてしまう、そして売掛金等の債権があれば回収に走るといったこともできますが、そうでないケース、つまり、突然の破綻といったケースが多いのが現実です。一見、内容の良さそうな会社でも、内情は火の車だった、というのは、よくあることです。
一方、そのような会社の特徴の1つとして、「リスケ」をしていることをあげることができます。つまり、リスケをしていれば、その会社は危険水域にある可能性があるということです。リスケとは、ご存知の通り、金融機関への返済がままならず、返済計画を見直してもらっている、猶予してもらっている状態のことを言いますが、相手方は勿論、金融機関もそのような情報はくれません。しかし、このリスケを見破る方法があるのです。
用意するものは、相手方の直近の3期分、最低2期分の決算書と勘定科目内訳書だけです。そして、見るべき部分は、
・貸借対照表の「長期借入金」「短期借入金」
・損益計算書の「支払利息」
・勘定科目内訳書の「借入金及び支払利息の内訳書」です。
これらを、2~3期分見れば、相手方のリスケの可能性が見えてくるのです。
それでは、具多的な見方について紹介していきます。
①貸借対照表の「長期借入金」「短期借入金」、内訳書の金融機関からの借入金(その他の借入金、例えば役員借入金等は除く)に注目
例えば、この会社が、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3つの金融機関から借入をしていたとします。その、2018年、2019年、2020年の3期分の残高の変化を追っていきます。
三菱UFJ銀行:5000万(2018)→4950万(2019)→4900万(2020)
三井住友銀行:4000万→3960万→3920万
みずほ銀行:3000万→2970万→2940万
トータル 12,000万→11,880万→11,810万となっていたとします。
借入金の残高が、ほとんど減っていないのがわかると思います。それも、3行、揃ってです。通常通りの支払いが行われていれば、残高はもっと減っているはずです。このペースでは、全て返し終えるのに100年ぐらいかかってしまいます。
一方、「約定どおり返済していて、追加融資を受けた」という可能性も否定できません。しかし、この場合は、3行の足並みが揃うことは稀です。通常は、各行の残高に差がついてきます。リスケの場合、各行が不公平感のないように足並み揃えて元本返済の割合を調整するのが普通で、「残高プロラタ方式」と言ったりします。
このように金融機関が足並みを揃えるかのように、ゆっくりと残高が減っていくのが、リスケの特徴と言えます。
②損益計算書の「支払利息」に注目
次に損益計算書の中に記載されている支払利息について見ています。
現在、中小零細企業が、金融機関から借入を行う場合、利率は低くて1%、高くて4.5%ぐらいでしょうか。それより高いのはノンバンク系、低いのは優良企業がメガバンク等から借りる場合です。先ほどの例で、5000万ぐらいの借入がある場合、支払う利息は、100万前後、多くて220万から少なくて50万ぐらいといったところでしょうか。ここで、もし、この会社の支払利息が「0」あるいは「10万未満」といった異常に低い数字であれば、その会社は、優良企業ではなく、「期限の利益を喪失して、事故になって、利息が無効になっている」という可能性が出てきます。例えば、保証協会に代位弁済になった会社などは、「支払利息」の欄がゼロ、または異常に低い数字であることが多くなります。
逆に、支払い利息が借入金に対して非常に高い場合は、高利ノンバンクからの借入、手形割引、遅延損害金といったことが考えられます。
リスケを行っている場合、支払利息が通常の範囲内に収まっているのも特徴の1つです。
①②の条件が揃っている場合、つまり、借入金残高の3期比較が各行、「足並み揃えたように微減」で、かつ、「支払利息の額が正常な範囲」なら、リスケをしている可能性が高くなってきます。
決算書はその会社の健康状態を示すものですが、その変化を見ていくことでリスケの可能性を発見することもできるのです。
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