自己破産を考える社長の駆け込み寺

自ら黒字企業に蘇らせたからこそ言える、自己破産を考える社長の皆様に伝えたいこと

事業継続か事業譲渡か?そのメリットやデメリットは?

会社の業績がいい時は問題になることはないのですが、売り上げが落ちてきた、利益があがらなくなってきた時には、何らかの整理をする必要があります。私達が相談を、お受けするケースの中にも、勿論、負債が多額で事業内容にも先行きが見込めない時には、全てを整理するという意味で、破産といった手続きを行わざるをえないケースもあります。この場合は、本当に全てを失い、従業員さんがいれば、その方々の雇用も維持できなくなります。一方、そこまで深刻なケースでない場合は、事業を継続しながら立て直しを図っていくことが基本となりますが、事業そのものを譲渡するという方法も選択肢として出てきます。今回は、実際に私達が携わらせていただいたケースを紹介しながら、事業継続、事業譲渡、それぞれのメリットやデメリットについて紹介していきます。

 

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〇ご相談内容
2015年頃、あるメーカーさんから相談を受けたのですが、その時の状況は次のようなものでした。
 ・年商 1億円
 ・金融機関からの借入金約1億円
 ・社会保険料の未納分 3000万円
 ・国税の未納分 3000万円


以上のような状況で負債総額は約1億7千万円であり債務超過状態でもありました。普通に弁護士に相談すれば、破産手続きを勧められるような状況です。この会社の場合は、現経営者が事業を引き継いだ時から債務超過、赤字体質に陥っていたのですが、その原因として、原価計算があいまいだったこと等が挙げられます。一方、この会社は、付加価値のある商品を扱っていたため、やり方次第では、売り上げを伸ばしながら営業利益を上げていくことも出来る、会社を潰さなくても事業を継続しながら経営改善は可能だとも思っていました。会社の内容次第では、破産しそうな会社でも再生できるということは、私自身の体験からも分かっています。確かに、一時的に返済を止める、待ってもらうなどの交渉は必要でしたが、やりがいのあるケースだと思っていました。また、社会保険料国税の遅延の支払い請求はすさまじいもので金融機関や売掛金に対して何度も差し押さえを行ってくるなど、すさまじいものがあり、生きている心地はしないかもしれませんが、それを乗り切りさえすれば、苦境を乗り切った経営者として、一皮も二皮も向ける、辛抱のし甲斐のあるケースでもあります。


ただ、もう一つの選択肢として、事業譲渡、いわゆる第二会社方式というスキームについても、弁護士・公認会計士中小企業診断士の3者で検討を行いました。具体的には次のようなスキームです。


・知人に新会社を設立してもらい、その会社に、現在の営業権、工場や倉庫、それに雇用を引き取ってもらう。 
・旧会社については、清算(破産)処理を行い、旧会社の社長についても個人破産の手続きを行う。つまり、新会社に借入金や社会保険料国税の未納分は引き継がせない。
・旧会社の社長は、従業員として新会社と関わっていくこともできる。
つまり、旧会社は特別清算か破産(倒産)となり、新会社が事業継続して新たな会社組織となるわけです。


では、今回のケースについて、事業継続と事業譲渡(第2会社方式)、それぞれのメリット・デメリットをあげていきます。


まずは事業継続です。
〇メリット
・長年続いてきた会社を守ることができる。
・無事に難局を乗り切った際には、経験値や信用が高まる。


〇デメリット
負の遺産を引き継いだままになるので合理的とは言えない。
・金融機関との交渉や社会保険料国税の遅延に対する催促に対して、耐えていく必要があるが、それが精神的苦痛、ストレスに繋がる。


次は、事業譲渡です。
〇メリット
負の遺産を切り離すことができ、合理的に再建を目指すことができる。
・長年維持した事業を守ることができる。
・従業員の雇用を守ることもできる。
・精神的苦痛から解放される。


〇デメリット
・会社を手放すことになる。
・個人の資産や信用は完全に、失うことになる。

 

事業継続と事業譲渡、2つのスキームについて、実例を交えながら見て来ました。
ちなみに、この会社の社長は、2021年になり事業譲渡という方法を取ることを決断されました。事業継続と事業譲渡、どちらかが絶対的な正解というわけではありません。その時の状況は勿論、個人のプライオリティーにもよります。
先の社長さんは、事業と雇用を守ると同時に私の知人が代表を務める新会社のもとで、新たな人生を歩み始めることになりました。

 


 

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関連会社:大野不動産コンサルタント事務所